国が重文指定の運用上、所有者の同意を過度に重視していることの証左として、鳩山邦夫議員が国会に提出した「文化財を保存し後世に伝える必要性に関する質問主意書」と、野田佳彦内閣総理大臣名の答弁書を下記にリンクします。
一覧の395をご覧下さい。
http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_shitsumon.htm
この答弁書の3において、「所有者の財産権を尊重するとともに文化財保護の実効性を担保する観点から、所有者の同意を得て手続きを進める実務上の取扱いとしている。」と書かれています。
ここで「文化財保護の実効性を担保する」と書かれているのは、他の資料と照らし合わせると、「指定しやすいものから指定していく」ことを意味しています。つまり国は、文化財の重要度よりも、指定の容易さの方を優先して、文化財保護法を運用していることになります。
また回答の4において、大阪中郵を所有する郵便局(株)の持ち株会社である日本郵政(株)の株式は、政府がその全てを保有していることを明記する一方、5及び6においては、民間企業のことについて政府は関知する立場にない旨の記述をしています。これは一般的な感覚からすれば奇異に感じます。100%株式を保有しているからといって、その企業の経営に口出ししなければならない義務があるわけではないでしょうが、企業の経営を大きく左右する大規模開発について、また企業が所有する重要な文化財の扱いについて、100%の株主である政府が、第3者的な立場であるかのような振る舞いするのは問題です。大規模開発が失敗に終わった場合、また重要な文化財が失われた場合、損なわれるのは国の財政であり、国の文化であるのですから。
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